退職理由はどのように伝えればいい?
退職を決めたとき、「上司に退職理由をどこまで話せばよいのだろう」と悩む人もいるでしょう。
転職、働き方の見直し、家庭の事情など、退職を考えるきっかけは人によって異なります。また、職場への不満が退職を考える理由になっている場合もあります。
退職理由を伝える際は、自分の状況を整理したうえで、相手に伝える内容を考えることが大切です。思っていることをすべて話すのではなく、退職の意思と必要な情報が伝わるように整理してみましょう。
この記事では、退職理由を考えるときのポイントや上司への伝え方、理由別の考え方、伝える際に注意したいことについて紹介します。
退職理由は事前に整理しておく

上司と話す場になってから退職理由を考えようとすると、伝えたいことがまとまらなくなる場合があります。
まずは、「なぜ現在の仕事を辞めようと思ったのか」を自分の中で整理してみましょう。
転職して新しい仕事に取り組みたい、働き方を見直したい、家庭の事情があるなど、自分が退職を考えるきっかけを書き出してみる方法があります。
退職理由と退職の意思は分けて考える
退職理由を詳しく説明することに意識が向きすぎると、退職する意思そのものが伝わりにくくなることがあります。
すでに退職を決めている場合は、「退職したいと考えています」といった意思を伝えたうえで、必要に応じて理由を説明します。
一方、まだ退職を決めておらず、仕事内容や働き方について相談したい段階であれば、退職の申し出とは分けて考えましょう。
退職理由を詳しく話しすぎない
退職理由について聞かれたからといって、自分が感じていることをすべて詳しく説明する必要があるとは限りません。
特に複数の理由が重なって退職を考えている場合は、何を伝えるのか事前に整理しておくと話しやすくなります。
伝える必要がある内容を整理する
例えば、転職によって今後取り組みたい仕事がある場合は、その方向性を中心に説明する方法があります。
家庭の事情など個人的な理由がある場合も、どこまで詳しく説明するかは状況に応じて考えます。
退職理由の説明が長くなりすぎないよう、「退職する意思」「希望する退職時期」「退職理由」をそれぞれ分けて整理しておきましょう。
事実と異なる理由を作らない
退職を伝えやすくするために、実際にはない事情を退職理由として作ることは避けたほうがよいでしょう。
話の内容について追加で確認された場合に説明が難しくなったり、後から内容に食い違いが生じたりすることがあります。
すべての事情を細かく話さない場合でも、自分が実際に考えていることをもとに伝える内容を整理しましょう。
職場への不満がある場合の伝え方を考える
給与、人間関係、仕事内容、勤務時間など、現在の職場への不満が退職を考えるきっかけになることもあります。
その場合、退職の面談で不満をそのまま並べると、本来伝えたかった退職の意思から話がそれてしまうことがあります。
感情的な表現になっていないか確認する
退職理由を考えるときは、「会社が悪い」「上司のせいで辞める」といった表現になっていないか確認しましょう。
不満に感じていることが事実であっても、退職を伝える場では、自分が今後どうしたいのかを中心に整理する方法があります。
例えば、仕事内容について悩んでいた場合は、自分が今後取り組みたい仕事やキャリアの方向性を整理してみましょう。
改善を求めたい場合は退職の申し出と区別する
勤務条件や職場環境について改善してほしいことがあり、それによっては現在の会社で働き続けたいと考えている場合もあるでしょう。
その場合は、「退職することを決めた」のか、「改善できるか相談したい」のかを自分の中で区別しておくことが大切です。
目的が曖昧なまま退職の話をすると、会社側との認識に違いが生じる可能性があります。
転職を理由に退職する場合の伝え方
転職をきっかけに退職する場合は、今後の仕事についてどこまで伝えるのか迷うことがあります。
転職先について聞かれることも考えられるため、事前に自分が話す範囲を決めておくとよいでしょう。
今後取り組みたいことを整理する
転職理由を説明するときは、「現在の会社ではできないから辞める」という伝え方だけではなく、自分が今後どのような仕事に取り組みたいのかという視点から整理する方法があります。
例えば、これまでの経験を活かして別の分野に挑戦したい、担当する仕事の幅を変えたいなど、自分の状況に合わせて考えてみましょう。
ただし、必要以上に前向きな理由を作るのではなく、自分の考えと合っている内容を伝えることが大切です。
転職先について話す範囲を考えておく
退職を伝えた際に、転職先の会社名や仕事内容などについて聞かれることがあります。
どこまで話すかについては、自分の状況や勤務先との関係を考えながら判断しましょう。
質問される可能性を考えて、あらかじめ「どの程度まで伝えるのか」を自分の中で整理しておくと、面談の際にも対応しやすくなります。
家庭や個人的な事情で退職する場合
家族の事情、引っ越し、生活環境の変化など、個人的な事情から退職を考える場合もあります。
個人的な内容をどこまで説明するのかについても、事前に考えておきましょう。
必要な範囲で説明する
家庭の事情などについて、詳細まで説明したくない場合もあるでしょう。
退職の手続きに必要な情報がある場合は勤務先へ確認しつつ、個人的な事情についてどこまで話すかは状況に応じて整理します。
話したくない内容まで無理に詳しく説明しようとせず、退職の意思や希望する時期など、必要な内容を分かりやすく伝えることを意識しましょう。
上司へ退職理由を伝えるときの流れ

退職理由が整理できたら、実際に上司へ伝える内容を考えてみましょう。
最初から退職理由を長く説明するのではなく、退職の意思、希望する時期、理由というように、伝える内容を整理しておく方法があります。
まず退職の意思を伝える
すでに退職を決めている場合は、まず退職したいという意思を伝えます。
例えば、「お時間をいただきありがとうございます。今後について考えた結果、退職したいと考えています」といった形で話を始める方法があります。
その後、退職理由や希望する時期について説明すると、何について話したいのか相手にも伝わりやすくなります。
希望する退職時期もあわせて整理する
退職を申し出る際には、いつ頃の退職を希望しているのか聞かれることがあります。
第15記事で紹介したように、就業規則や引き継ぎ期間、有給休暇、転職先の入社予定日などを確認したうえで、自分の希望する時期を考えておきましょう。
具体的な退職日は会社との確認が必要になる場合もあるため、最初の面談では自分の希望を伝え、今後の進め方について確認します。
退職理由は自分の状況に合わせて伝える

退職理由に決まった言い方があるわけではありません。実際の事情に合わせて、自分の言葉で説明することが大切です。
ここでは、退職を考える理由ごとに、どのような内容を整理すると伝えやすいのか紹介します。
新しい仕事に挑戦したい場合
別の仕事や分野へ挑戦するために退職する場合は、今後取り組みたいことを中心に整理します。
例えば、「これまでの経験を振り返る中で、今後は○○の分野にも取り組みたいと考えるようになり、退職を決めました」といった伝え方があります。
現在の会社を否定することを中心にするのではなく、自分の今後の方向性を説明する方法です。
働き方を見直したい場合
勤務時間や通勤、今後の生活との両立などを考え、働き方を見直すために退職する場合もあります。
この場合は、「今後の生活や働き方について考えた結果、現在とは異なる働き方を検討することにしました」など、自分が考えた経緯を簡潔に整理する方法があります。
具体的な事情を聞かれた場合にどこまで説明するのかについても、事前に考えておきましょう。
家庭の事情がある場合
家庭の事情による退職の場合は、自分が話せる範囲で理由を説明します。
例えば、「家庭の事情により、現在の働き方を続けることが難しくなったため、退職を考えています」といった形で伝える方法があります。
会社側で必要となる手続きなどがある場合は別途確認し、個人的な事情については自分が伝えられる範囲を整理しておきましょう。
職場への不満が理由の場合
人間関係や仕事内容、待遇などへの不満が退職のきっかけになっている場合は、伝え方を考えておきましょう。
例えば、仕事内容に不満がある場合でも、「自分が今後取り組みたい仕事について考え、環境を変えることにしました」など、自分の今後を中心に整理する方法があります。
ただし、ハラスメントなど会社へ具体的に伝えて対応を求めたい問題がある場合は、単なる退職理由とは分けて、社内の相談窓口など適切な相談先を確認することも検討しましょう。
退職理由を詳しく聞かれた場合の対応
退職の意思を伝えると、上司から「なぜ辞めるのか」「何か不満があるのか」など、詳しい理由を聞かれることがあります。
質問されることを想定し、自分がどこまで説明するのかを事前に決めておくと対応しやすくなります。
最初に伝えた内容と一貫させる
追加で質問されたときに、その場で別の理由を次々と付け加えると、何が主な退職理由なのか分かりにくくなることがあります。
自分が最初に伝えた理由をもとに、必要な範囲で補足することを意識しましょう。
複数の事情がある場合でも、すべてを説明するのではなく、退職を決めるうえで自分が重視したことを整理しておく方法があります。
答えにくい内容は無理に詳しく話さない
家庭の事情や転職先についてなど、詳しく話したくないことを聞かれる場合もあります。
そのような場合は、自分が説明できる範囲で回答し、必要以上に詳しい情報まで話さないという考え方もあります。
例えば家庭の事情であれば、「個人的な事情のため詳細は控えたいのですが、今後の生活を考えて退職を決めました」など、自分が伝えられる範囲を示す方法があります。
引き止められたときの伝え方を考えておく
退職理由を伝えると、会社から「仕事内容を変更する」「待遇について検討する」などの提案を受ける場合があります。
引き止めを受けたときに迷わないよう、自分が退職を決めた理由を改めて整理しておきましょう。
退職の意思が変わらない場合
すでに退職を決めており、会社から提案を受けても意思が変わらない場合は、その考えを改めて伝えます。
例えば、「ご提案いただきありがとうございます。ただ、自分なりに考えたうえで退職を決めています」など、相手の話を受け止めながら自分の意思を伝える方法があります。
何度も新しい退職理由を加えるのではなく、最初に整理した考えを軸に話すことを意識しましょう。
条件変更を提案された場合
仕事内容や勤務条件などの変更を提案され、それによって考えが変わる可能性がある場合は、提示された内容を確認してから判断する方法もあります。
その場ですぐに回答するのではなく、自分が退職を考えた理由と提案された内容を照らし合わせて考えます。
転職先が決まっている場合は、すでに決まっている入社予定や条件についても確認したうえで判断しましょう。
退職理由を伝えるときに避けたい表現
退職の話し合いでは、自分の意思を伝えることと、感情をそのまま相手へぶつけることは分けて考えましょう。
退職後の手続きや引き継ぎが残っている場合もあるため、必要なコミュニケーションを取りやすい伝え方を意識します。
会社や特定の人への批判だけにしない
「上司が嫌だから」「会社に良いところがないから」といった批判だけで退職理由を説明すると、話し合いが感情的になることがあります。
職場に不満があったとしても、退職の意思を伝える場では、自分が今後どうしたいのかという視点から内容を整理する方法があります。
曖昧すぎる表現にも注意する
一方で、「何となく辞めたい」「少し考えています」といった伝え方では、退職を決めているのか相談したいだけなのか分かりにくくなる場合があります。
すでに退職を決めているのであれば、その意思が伝わる表現を選びましょう。
退職するかどうか迷っている段階なら、退職の申し出ではなく、働き方などについて相談する場として話すことも考えられます。
メールやチャットだけで退職理由を伝えてもいい?
テレワークなど働き方が多様になる中で、「退職の意思をメールやチャットで伝えてもよいのだろうか」と迷うこともあります。
退職の申し出方法について社内ルールが設けられている場合もあるため、まずは就業規則などを確認しましょう。
面談の時間を取ってもらうために連絡する
対面やオンラインで上司と話せる状況であれば、メールやチャットを面談の日程調整に利用する方法があります。
例えば、「今後についてご相談したいことがあります。お時間をいただけますでしょうか」などと連絡し、個別に話せる時間を設けてもらいます。
この段階ですべての退職理由を文章で説明するのではなく、まずは話す機会を作るという考え方です。
対面で話すことが難しい場合は会社へ確認する
勤務地が離れている場合や在宅勤務などで対面の機会が少ない場合は、オンライン面談などで話すことも考えられます。
どのような方法で退職を申し出るのかについては、勤務先のルールや上司、人事担当者などへ確認しましょう。
連絡手段だけで判断するのではなく、退職の意思や希望する時期が相手に伝わる方法を考えることがポイントです。
退職理由を伝えた後の対応も確認する
上司へ退職理由を伝えたら、それだけで退職に関する対応がすべて終了するわけではありません。
退職日や引き継ぎ、必要書類などについて、勤務先と確認しながら進めていきます。
退職日や今後の予定を確認する
退職の意思を伝えた後は、希望する退職時期について会社と確認します。
退職日が決まったら、最終出勤日、引き継ぎ期間、有給休暇の予定などを整理しましょう。
転職先が決まっている場合は、入社予定日とのスケジュールも改めて確認します。
退職理由と引き継ぎは分けて考える
退職理由について会社と意見が一致しなかったとしても、退職までに担当業務の引き継ぎが必要になる場合があります。
退職理由についての話と、仕事の引き継ぎについての話を分けて考え、必要な情報を整理しましょう。
担当業務や進行中の案件、定期的な作業などを書き出し、勤務先から案内された方法で引き継ぎを進めます。
同僚へ退職理由を聞かれた場合も伝える範囲を考える
退職することが職場に共有されると、同僚から「どうして辞めるの?」と聞かれることもあります。
上司に伝えた内容と同じように、どこまで話すのか自分なりに決めておきましょう。
話したくないことまで説明する必要はない
親しい同僚であっても、転職先や家庭の事情など、詳しく話したくない内容がある場合もあります。
その場合は、「今後の働き方を考えて決めました」「新しい環境で仕事をすることにしました」など、自分が話せる範囲で説明する方法があります。
誰にどこまで伝えるかを考え、個人的な情報を必要以上に広げないようにしましょう。
職場への不満を広げることには注意する
退職が決まると、それまで感じていた職場への不満を周囲へ話したくなることもあるでしょう。
しかし、退職日までは現在の職場で仕事を続け、引き継ぎなどを行う場合があります。
必要なコミュニケーションを取りながら退職準備を進められるよう、誰に何を伝えるのかを考えておきましょう。
退職理由を伝える前に最終チェックする
上司との面談前には、自分が伝える内容を一度整理しておきましょう。
文章を丸暗記する必要はありません。話したいポイントを簡単にメモしておく方法もあります。
退職の意思が分かる内容になっているか
すでに退職を決めている場合は、相談なのか退職の申し出なのかが分かるように伝えることを意識します。
「退職するか迷っています」という内容と、「退職したいと考えています」という内容では、相手が受け取る意味も異なります。
現在の自分の意思と伝える内容が合っているか確認しましょう。
退職理由が長くなりすぎていないか
退職理由を詳しく説明しようとして、話す内容が長くなっていないか確認します。
複数の事情がある場合は、自分が退職を決めた主な理由を整理し、必要に応じて補足する方法があります。
会社や上司への不満を一つずつ説明することよりも、自分の意思や今後の方向性が伝わる内容になっているかを見直しましょう。
事実と異なる内容が含まれていないか
相手に納得してもらおうとして、実際にはない家庭の事情や転職予定などを理由として加えることは避けましょう。
詳しく話したくない事情については、すべてを説明するのではなく、自分が伝えられる範囲で整理する方法があります。
後から説明を求められた場合も考え、実際の状況と食い違いがない内容になっているか確認します。
退職理由を伝えた後は退職までのコミュニケーションも大切
退職理由を伝えた後も、最終出勤日までは上司や同僚と仕事を進めることがあります。
引き継ぎや社内手続きなどについて確認しながら、退職日までに必要な対応を進めましょう。
引き継ぎに必要な情報を整理する
自分が担当している業務について、後任者が確認できるよう情報を整理します。
日常的な業務だけでなく、進行中の案件、定期的に発生する作業、関係部署との連絡事項なども確認しましょう。
退職理由とは別に、業務上必要な情報を引き継ぐことを意識します。
最終出勤日まで予定を確認する
退職日が決まった後は、引き継ぎ、貸与品の返却、必要書類の提出などの予定を確認します。
有給休暇を取得する場合は、最終出勤日と退職日が異なることもあるため、それぞれの日付を整理しておきましょう。
退職までに必要な対応については、勤務先からの案内も確認しながら進めます。
退職理由は自分の状況に合わせて整理して伝えよう
退職理由を伝えるときは、相手に納得してもらうための特別な理由を作るのではなく、自分が退職を考えた経緯を整理することから始めましょう。
転職、働き方の見直し、家庭の事情など、退職を考える理由は人によって異なります。職場への不満がきっかけの場合でも、退職の面談では自分が今後どうしたいのかという視点から整理する方法があります。
また、退職理由をすべて詳しく説明する必要があるとは限りません。自分が伝えられる範囲を考え、退職の意思や希望する時期など、必要な内容を分かりやすく伝えることを意識しましょう。
退職理由を伝えた後は、退職日の確認や引き継ぎ、必要な社内手続きへ進みます。退職理由と実務上の手続きを分けて整理し、勤務先のルールを確認しながら退職までの準備を進めていきましょう。

